サヴィーニ家の歴史

私たちの70年の歩み

「昔々あるところに…」ではじまるのがおとぎ話の定番ですが、私たちの話もご多分にもれず、ゼリンドー(通称ゼラ)という男からはじまります。このゼラという男はヴィッラ・サレッタ出身の狩人でした。ヴィッラ・サレッタというのはパラーイアにある広大で美しい農場のことで、周囲は青々とした木々に覆われています。そこでゼラは仕事も人生も全てをトリュフへの情熱に注ぎ込んだのです。彼は幸せな男だったのです!
ゼラは雇い主から高い信頼を寄せられていました。その雇い主というのは地主でもあり、トリュフビジネスを仕切っている支配人でもありました。

その雇い主は裕福な男で、当時パラーイアに住んでいた人はたいていは彼の下で働いていたといっても過言ではありません。お客さんがくれば世話をするのはいつもゼラの仕事です。「ここを訪れる客人のすべて (ミラノ、トリノ、ヴェローナ出身者が多く) は、バードハンティングやイノシシ狩りに熱を上げている。しかし、それ以上に彼らを魅了しているのはトリュフであることに気が付きます。彼らは方角を忘れてしまいそうになるぐらいトリュフに熱狂しており、ゼラはそんな客人のためにトリュフハンター兼調達係を申し出ます。
その頃、ゼラは緑色の大型ヴェスパを所有していました。大型ヴェスパをブンブン鳴らしながら、まるでクレイジー野郎のようにヴィッラ・サレッタまでの道を一気に駆け上がる。そして勢いそのままに森の茂みの中に消えていく。それは当時、よく見られた光景でした。そして戻ってきた時、彼は「刺激臭」というおまけ付きの宝物を持っていました。10月から12月の間はホワイトトリュフが、春と夏の間はブラックトリュフが、その「宝物」でした。
ゼラは供給が需要に追い付かなくなるとトリュフの転売を始めます。
すると、お金が舞い込んできたのです。その時、ゼラは夢が叶ったと思いました。
彼は当時、燃え滾る赤色のBSA社(イギリス)オートバイを喉から手が出る程欲しがっていました。しかし、高額なため、それを購入できるのは彼の雇い主ぐらいだったでしょう。ゼラは最終的にBSAのオートバイを購入しますが、そのせいで彼に長らく仕えてきた緑色のヴェスパはお役御免となってしまいます。その後の展開はこうです。雇い主は彼の家に伝令係を送り、そしてメッセージが伝えられます。
「風のうわさで耳にしたんだが、君はBSA社のオートバイを手に入れたそうじゃないか。今、村はその話題で持ちきりだよ。おかげで周りから君の給料が一番高いんじゃないかみたいに思われてしまってね。そこで命令だが、そのオートバイを売るか、それとも今の仕事を辞めるか、どちらかひとつにしたまえ」
するとゼラはためらうことなく帽子を取り、辞職の意をしめします。彼の様子はどこか悲しげでした。彼の全生涯はこうしてトリュフの商売に捧げられるにいたったのです。

ルチアーノの選択

私たちは何年にも渡って様々な種類の生トリュフを販売してきました。しかし、1970年代の終わり頃、ルチアーノ・サヴィーニ(ゼラの息子)が伝統のトリュフ販売業と母レオンティーナの調理方法を結びつけるという考え方を打ち出します。
トスカーナの伝統料理に通じていた母は高級料理に並々ならぬ情熱を抱いていました。
実験と試作を通じて、トリュフ・ソースを最初に開発したのは他ならぬレオンティーナなのです。それから何年とたたないうちに商売は繁盛し、80種類以上のトリュフ加工商品を開発し、40ヶ国以上に輸出できるまでにいたったのです。

Savini Tartufi社の
トリュフの品質

トリュフとは

トリュフは魔法のフルーツ

トリュフは子嚢類(fungus:「菌類」ですが、具体化して「子嚢類」としてあります。)の一種で、その一生をほとんど土の中で過ごすため「ヒュポゲウム・マッシュルーム」と呼ばれています。
ここイタリアでは「森のダイアモンド」とも呼ばれているトリュフですが、その正体は胞子が地中や木の根っこの中で多数密生したものです。トリュフは木々や植物たちと共存・共栄していますが、それは貴重な胞子嚢(袋状の構造物。その内部に胞子をたくわえる。)を作るために欠かせないことなのです。
トリュフは自然の産物であり、その恵みは人間が自然を敬愛し、人間と自然の間で調和が取れて初めてもたらされます。

トリュフに適した場所

私たちの歴史はサヴィーニ家を中心に展開します。さらに厳密にいえば、それはトスカーナ地方を中心に展開されます。トスカーナというのはトリュフに最高の場所で、年間を通してトリュフを採集することができます。たとえば、宝物になっている黒トリュフからサマートリュフ、ビアンケット(春トリュフ)から有名な白トリュフ(マグナタム種)など。

白トリュフ

白トリュフ

(TUBER MAGNATUM PICO)

外見:なめらかな淡い黄色、時には緑色または黄土色の色合い。

断面:ヘーゼルナッツまたは茶色の淡黄色、時には赤色の点々があり、非常に細かい白い脈が密集しています。

形状:トリュフが成長する土壌の種類によって、丸みを帯びたもの・非常に突起したもの・または歪んだものと様々です。

サイズ:サイズは様々で数gの小さなサイズから1キロを超える例もあります。
Savinitartufi社では2007年に1.497kgの白トリュフが見つかり、US33万ドル(3,600万円)で落札されました。
ギネス記録として認定された事は世界的に有名なニュースになりました。

熟成期間:9月から12月。

見分け方:秋に熟成され、なめらかな表皮、色そして芳醇な香り。

ビアンケットトリュフ

ビアンケットトリュフ

(TUBER BORCHII VITT)

外見:滑らかな明るい色、白っぽい黄色から赤みを帯びた色。

断面:栗色から褐色まであり、大きな白い脈があります。

形状:砂地で成長したトリュフは丸みを帯びていますが、時には不規則に凹凸がある形状の物もあります。

サイズ:平均サイズは小さめで、ヘーゼルナッツぐらいの大きさですが、稀に卵の大きさに達することがあります。

熟成期間:1月から4月

見分け方:滑らかな表皮、褐色または赤みがかかった茶色、小さいサイズ、ニンニクや玉ねぎの香り、晩冬〜春の熟成期間

サマートリュフ

サマートリュフ

(TUBER AESTIVUM VITT)

外見:表面が荒くザラザラしておりイボ状。黒色です。

断面:ナッツみたいな黄色、枝分かれした白い脈が走りマーブル状です。

形状:概ね丸い。

サイズ:平均サイズはかなり大きく、時には500gに達する場合もあります。

熟成期間:6月から11月

見分け方:非常にイボ状で、平均的にサイズが大きくなりますが、他種の黒トリュフより比重が軽くなります。熟成期間は主に夏。その見かけからScorzone truffleとも言われています。(Scorzoneはイタリア語でヘビやマムシの意)

秋トリュフ

秋トリュフ

(TUBER UNCINATUM CHATIN)

外見:イボ状、黒くて目立ちにくいイボで形成されています。

断面:ヘーゼルナッツ色、枝状の白い脈がありますが、その本数は多様です。

形状:様々です。丸みを帯びている場合や歪んだ場合もあります。

サイズ:サマートリュフより小さくなる傾向があります。

熟成期間:10月から12月。

見分け方:一見、サマートリュフと非常に似ているので、数人の学者でも秋トリュフへの判別が難しくなります。外見(皮、断面、形、大きさ)、香りもよく似ていて、表皮を顕微鏡で見る事によって初めて見分けられる事が出来ます。

冬の黒トリュフ

冬の黒トリュフ

(TUBER MELANOSPORUM VITT)

外見:イボ状。色が黒く、小さく細かいイボで形成しています。

断面:黒檀色で、熟すと黒紫色になります。白くて細い脈があり、空気に触れると赤みを帯びてきますが料理などで熱されると消えてきます。

形状:通常は丸みを帯びているが、不規則に歪んでいるものもあります。

サイズ:直径2.5cmからオレンジ大までの大きさ。稀に大きくなります。

熟成期間:11月から3月。

見分け方:小さく、細かいイボ。断面が黒檀色や、紫がかった茶色で繊細な香りがします。

ブルマーレトリュフ

ブルマーレトリュフ

(TUBER BRUMALE VITT)

外見:イボ状。小さくてあまり目立たないイボ状。

断面:灰色がかった茶色。白く大きく広がった脈がある。

形状:概ね丸い

サイズ:小さくなる傾向があり、通常はクルミぐらい。

熟成期間:1月から3月。

見分け方:冬の黒トリュフと似ていますが、黒トリュフより灰色がかった黒色になります。カブの香りがするとも言われてますが、その芳烈な香り立ちからBRUMALEと呼ばれています。(イタリア語でBRUMALEは霧深いの意)